心房細動とは

心房細動とは不整脈の1つで、4つある心臓の部屋のうち“心房”という部分が異常な動きをすることによって心臓がうまくはたらかなくなり、脈拍が乱れる病気です。心房細動そのもので命を落とす確率は低いのですが、日常生活に支障が生じることがあるほか、
このページでは心房細動の原因や症状、治療方法などについてご紹介します。
心房細動とは?
人間の心臓は右心房にある “洞結節” から発せられる電気信号によって拍動しています。しかし、心房細動では何らかの理由で心臓に異常な電気信号が多く起こるようになり、心房が細かく震えるような動きをするようになります。これにより、脈に規則性がなくなってしまいます。

心房細動は加齢とともに有病率が高まることが分かっており、高齢化の進む日本では患者数の増加がみられます。また男女比では、男性のほうが多いことが分かっています。
心房細動の原因
心房細動の発症には、さまざまな病気が関与していることがあります。たとえば、心臓弁膜症や心筋症、心筋梗塞などの心臓病にかかっている方に生じやすいことが分かっているほか、甲状腺機能亢進症、高血圧症、糖尿病、感染症などに関連して発症することもあります。
また、心房細動は生活習慣に関与して発症することもあると考えられています。たとえば、ストレスの蓄積や飲酒・喫煙習慣、過労、睡眠不足、脱水などは心房細動の原因となることもあるため、注意が必要です。
心房細動の症状
心房細動は自覚症状がなく、健康診断などで偶然発見される方もいます。症状がある場合、動悸や胸の不快感、めまい、息切れ、体のだるさなどがみられることが一般的です。
心房細動は同じ不整脈と呼ばれる病気である心室細動と違って、突然死のリスクはほとんどありません。しかし心房内の血液によどみが生じることにより、脳梗塞が生じやすくなるため、重症度に応じて治療を検討することが大切です。
症状の持続期間で種類が異なる
心房細動は症状の持続期間によって大きく3つに分類され、それぞれ検査方法・治療内容が異なる場合があります。
以下では、心房細動の種類別の特徴について簡単にご紹介します。
心房細動の種類
- ・発作性心房細動……心房細動が生じてから1週間以内に自然に治まる場合
- ・持続性心房細動……心房細動が1週間以上継続し、治療薬や電気ショックなどの治療を行わなければ治まらない場合
- ・長期持続性心房細動……心房細動が1年以上継続し、治療薬などでは治まらない場合
心房細動の検査方法
心房細動が疑われる場合、まずは心電図検査が検討されます。
通常の心電図検査は5秒~1分程度の心電図しか記録できないため、持続性心房細動や長期持続性心房細動のように心房細動が続いている場合は異常が発見できても、発作性心房細動にみられる不定期な心房細動については異常が発見できない可能性があります。そのため、通常の心電図検査だけでは診断の難しいケースでは、24時間分の心電図を計測できる“ホルター心電図”による検査を行うこともあります。
また、心房細動に関連する病気がないかどうか調べるために、心エコー検査や血液検査などが併せて行われることもあります。
心房細動の治療方法
何らかの病気が原因で発症している心房細動の場合、まずは原因となる病気の治療が検討されることが一般的です。特に原因となる病気がない方の場合は、心房細動を改善し、脳梗塞を予防するための薬物療法を行うほか、“電気的除細動処置”や“カテーテルアブレーション治療”、“メイズ手術”などが検討されます。
以下では、それぞれの治療方法についてご紹介します。
電気的除細動処置
電気的除細動処置とは、心臓の外からいわゆる電気ショックなどを与えることによって、心房細動を一時的に停止させる治療方法です。心房細動が長く続くことにより、心臓の機能が一時的に低下した場合や、症状が強く出た場合などに検討されます。
カテーテルアブレーション治療
カテーテル治療とは、血管の中に“カテーテル”と呼ばれる細い管を通して行う治療方法です。カテーテルアブレーション治療では、カテーテルの先端に付いた電気メスによって心臓の筋肉に熱を加え、電気信号を断つことで根本的な心房細動の停止を目指します。
主に薬物療法を行っても十分に改善しない、症状の強い患者に検討されることが一般的です。
メイズ手術
メイズ手術とは、心臓の部屋の1つである“心房”に切開や縫合を行う開胸手術です。これにより、心臓の異常な電気回路を断ち切り、根本的な心房細動の停止を目指す手術治療です。
一般的には、心房細動を伴った心臓弁膜症に対する手術と同時に行います。また、薬物療法や電気的除細動処置、カテーテルアブレーション治療では十分な改善が見込めない重症の心房細動に対して行うこともあります。
受診希望の方へ
心房細動は直接命に関わることは少ないといわれますが、脳梗塞や心不全のような命に関わる合併症を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。気になる症状があれば、医療機関の受診を検討しましょう。
また、心房細動は自覚症状がない方もいます。そのため、無症状のうちから定期的に健康診断を受診するなど、健康管理に努めましょう。