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心疾患と治療

CARDIAC DISEASE AND TREATMENT

弁膜症手術 スーチャレスAVR 

大腿動脈送血のリスクが高いあるいは困難な大動脈弁症例に対してRAT手術を行います。右第2肋間開胸で(図1)、送血は上行大動脈から、脱血は大腿静脈から施行します。小切開では弁輪の糸かけや結紮に習熟を要しますが、sutureless弁を使用することでこの手技を簡便化することができます。
(図1)RAT手術創
01.Perceval弁
LivaNova社のPerceval弁は、ウシ心嚢膜弁と自己拡張型のステントで構成されています。(図2) デリバリーホルダーに装着するときに弁を折り畳む(コラプス)必要があり、各大動脈洞の中央にガイドの糸を掛けて弁を挿入し、バルーンで後拡張した後、糸を取り除きます(図3)。人工弁の糸による縫着は全く行う必要はありません。
(図2)Perceval弁
(図3)挿入したPerceval弁
02.INTUITY Elite弁
Edwards Lifesciences社のINTUITY Elite弁は、ウシ心嚢膜弁の下(左室流出路側)に布で被覆されたバルーン拡張型フレームが付いています(図4)。 弁の折り畳みは行わず、各弁尖のnadirに縫合糸を通し、その糸を弁の縫着輪に通して弁を挿入します。 バルーンで弁下のフレームを拡張した後、3本の糸のみを結紮します。
(図4)INTUITY Elite弁
03.適応
65-70歳以上の大動脈弁狭窄症に適用されることが多いです。Rapheの無いSiever’s分類type0の二尖弁では、弁輪が楕円形に近いため使用は推奨されません。また感染性心内膜炎では弁周囲組織の炎症や脆弱化に注意する必要があり、弁輪膿瘍があれば使用できません。懸念として従来の生体弁と比較して、術後のペースメーカ植込み率が高いと言われていましたが、最近では同等にまで減少してきており、当院での成績は従来の生体弁と変わらない成績です。INTUITYの弁部分は従来の生体弁であり、長期成績が示されており、RAT手術では、コラプスして視野を得やすいため、Perceval弁の使用率が高いとされています1)
参考文献

(1) Di Eusanio M, et al. The sutureless and rapid-deployment aortic valve replacement international registry: lessons learned from more than 4,500 patients. Ann Cardiothorac Surg. 2020;9(4):289-297.

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